グーグル検索で「シームレスフィギュア 劣化」で当ブログにいらっしゃる方が多いようなので、TBリーグのシームレス素体の劣化や損傷・不具合について述べたいと思います。
但し、当方の根本的なスタンスとして、どんなに後生大事に箱に入れてしまっておいても、いずれはシリコーンが経年劣化してダメになってしまう筈なので、消耗品と考えて気にせずガンガン遊び倒すという方向性なので、デッドストック状態で完璧なコンディションを保って永久保存を目指す人向けの記事ではありません。
未使用・箱入りのプレミアム価格のスニーカーが経年劣化で加水分解して、箱から出したらソールがボロボロというのはご存知ですよね?
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基本的にはかなり丈夫なのでは?
最初に、当方が体験した劣化や損傷・不具合の症状を箇条書きすると以下の項目です。
- 皮膚裂傷
- 関節緩み
- 皮膚剝離
- 手足パーツ脱落
当方自身、TBリーグのシームレス素体にハマってまだ1年半弱なので、購入したシームレス素体が使用不能になる程の重篤な劣化や破損は体験していません。
入手した中古品で最も古いと思われる物で、推定2014年製と思われるので普通に使用している分には4~5年は大きな問題は起こらずに使えるのではないでしょうか?
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皮膚裂傷
気になる劣化といえば、唯一中古で入手したファイセン時代のM30という男性シームレス素体は、片腕の上腕の内側に亀裂が入っています。裂けめが密着しているのであまり気になりません。
休眠中の素体なので亀裂は進行していませんが、腕の動かし方や着せ替えの際などに亀裂に留意して扱わないと破損が進んでしまう恐れはあります。
亀裂の入った部分は、素体のパーティングライン上で肩のジョイントが内蔵されているところなので、成型時に注型したシリコーンが凝固する過程で、流れ込んだシリコーンが双方から合流する位置と思われ、一体でシリコーンが流れて凝固した部位より引張強度が劣るのか?パーティングライン沿いは他部より応力に弱い可能性があり、さらに関節部分で骨格が内蔵されて肉が薄い上に動いて引っ張られるので、ストレスが集中してしまう事に加え、シリコーンの経年劣化による柔軟性の低下のために亀裂が生じたのかと思われます。
気になる劣化はこの程度です。他は大事ではありませんが・・・、
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関節緩み
関節が緩くなってポーズが希望の位置で保持出来ない症状は各素体に見受けられます。
新品を入手した直後に腕をグラグラにさせてしまった素体もあります。個体差もありますが、遊んでいる以上しだいに緩んでしまう物と思われます。
画像のラムも、あぐらをかかせた為に股関節が若干緩み、完全には股が閉じない状態です。
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皮膚剝離
あとは経年劣化で、素体表皮が日焼けして皮がめくれるように極薄のゴム膜状に剥がれる症状があります。
着せ替え時に無理にキツい部分を通そうとして表皮に細かいキズがついたり極度に皮膚が引っ張られたりするのも一因のようです。
こちらも遊んでいる以上避けようがない上にそれほど目立たないので放置しています。ムキになって剥かないほうが良いように思います。
画像はJIAOUですが、その後剝離は広がっています
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手足パーツ脱落
手足の着脱パーツのジョイント部分がゆるんで、遊んでいる最中にポロポロ脱落してしまう物があります。
個体差か、もしくは取り外す際に手足パーツの嵌合部分をひろげてしまった為と思われます。
手足のパーツを指で強くつまんで、球体の収まる凹部分を変形させればしばらくは保持しますが、やはりちょっとした拍子に脱落してしまいます。
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その他
JIAOUで、差替え式の首のジョイントパーツを何度も交換していると、抜けやすくなってオビツのカスタムヘッド(実際は小倉優子)の頭の中に入って取り出せなくなりました。
慎重に頭部を外し、もしジョイントパーツも一緒に抜けていまったら、頭部に入り込まないように抜いてラジオペンチ等で引き抜く等の対処が必要となります。
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それ以外
当方は未経験なので、あくまで実体験ではなく情報のみですが、オークションに出品されている中古品を確認すると、コスチュームを着せたままで激しい色移りを起している物や、衣装の締め付けで素体のにクッキリ下着(衣装)のくい込んだ跡などが残ったり、バストが変形している物を見掛けます。
あまり長期に渡ってコスチュームを着せたままにしておくのは好ましくないようですね。
ホットスタッフや、きういどーる等のシームレス素体にも特有の劣化による不具合はあるようですが、当方は所有していないので言及できません。
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対策など
当方の基本的な考えとして、未開封でどんなに(素人の出来る範囲で)厳重に保管していてもいずれは経年劣化して、スニーカーの加水分解のようにいつかはダメになってしまう物なので、ガンガン使用して使い倒してしまおうという発想なので、以下に記したものは、大切に保管してミントコンディションを半永久的に保つ対策ではありません。
当方はやっていませんが、出来れば遊ぶたびに一旦服を脱がしてブリスターパッケージに戻して保管するのが最善かと思われます。
ポーズを保持したままだと、ポーズのままのカタチに変形したりシワが入ったりする恐れがあるのと、洗浄してビニール袋に入れて保管していたら、密着していた胴体と腕が張り付いて危うく皮膚が裂けそうになった経験があるからです。
展示したままの場合も極力紫外線を避け、濃色やタイトな着衣は脱がせてポーズも極力デフォルトの状態に戻し、ホコリの掛からないショーケース内等での展示が望ましいです。
皮膚の裂傷は、極力裂け目が広がらないように扱ったほうが良いです。
記事を書くに当たって今回試験的に、傷口を塞ぐ方法として、市販のコーキング用シリコーンで接着出来ないかテストしてみました。故意に引き剥がそうとしなければ傷口は開かない状態にはなりましたが、簡単に裂けてしまいそうです。傷口が開いてる物を接着して閉じるのは無理そうです。
関節の緩みは予防しかないと思います。一度緩んでしまった物を戻すのは、それこそ切開して外科手術を施す以外ほぼ困難に思えます。なので説明書記載の可動域を超えたポーズは避けたほうが賢明です。
皮膚の剝離は、キズが発端で剥がれて丸まってしまっている薄皮が陰影や汚れで目立つので、洗浄してホコリや手垢などの黒ずみをなくせばかなり目立たなくなります。丸まった部分が凸状で陰影で強調されるので、丸まった部分を引っ張って取り去れば目立たなくなりますが、次々めくれてくるので剥き過ぎないようにしたほうが無難です。
手足パーツの脱落は、嵌合部分のクリアランスが過大なために抜け落ちてしまうので、どちらかのサイズを調整すれば解決するのですが難易度は高いですw
フットパーツ側にホットボンドを少量流し込んで固まらないうちに球体側を差し込んでみたり、腕の球体にダイソーの紫外線硬化レジンを少量塗布して硬化させて、球体側を大きめにしてハンドパーツを差し込んでみたりしましたがどれも今一つでした。
完治には至りませんでしたが、ある程度症状を緩和させる方法をみつけました。
記事として紹介しますのでしばらくお待ちください。
色移りや締め付けによる変形は、ほぼ復元は困難かと思われます。長期間衣装を着せたままにするのは避けたほうが賢明です。
色移り(実際は色移りに近似した症状)に関しては実験してみました。併せてご覧ください。
どの症状も発症してしまったら完治は難しい気がします。
発症しないよう丁寧に扱って、発症してしまったら状態がそれ以上悪化しないよう気遣い、些細な難点はあまり気にしないで消耗品と割り切って寿命まで遊び倒してしまうのが、精神衛生的にも健全なのでは?と思います。